ドリカムが聞こえる/達富 洋二

電車の中のドリカムが心地いい。大阪を歩きながら聞くのがいい。◆「えっ。」って聞き返したくなる歌詞がある。だけど止めて聞き返すのはもったいない。このフレーズは最後まで通したい。◆「僕の昨日を知っているの。」って恥ずかしくなる歌詞がある。つまらない意地を張り通すことの格好悪さを歌っている。◆「そんなことしてみたかったんだ。」って懐かしい歌詞が聞こえる。若いって美しかったんだ。◆ことばって不思議。僕じゃない人が僕を歌っている。僕の心のかたちよりもステキなメロディーにのせて聞こえてくる。もう一人の僕がここから出ていく。僕のこと振り返りながら風と駆けていく。◆僕のボリュームが大きいから向かいの席のふたりの声は聞こえない。でも僕のiPodからはこんなこと語ってるのかなって二人のフレーズが聞こえる。ドリカムってあまりにも普通。あまりにも今。あまりにも正直。だから僕は今日もドリカムで大阪を歩いてる。