バス停/達富 洋二

四条河原町のバス停。水曜日の春の午後。高島屋での買い物の帰り。こんな時間にバス停に立つのは久しぶりです。◆河原町通りの東側のビルを眺めながら北行きの二〇五を待つこと十五分。アーケードの中を歩いていると新しい建物ばかりに見えますがアーケードの上は案外古い家です。のっぽのビルにくっついている看板を上から順に読んでいました。◆京都バスがやってきました。なんだかわくわくするような場所へ連れて行ってくれそうな気がします。まだ厚めの上着のお年寄りが連れ添って乗っていきます。◆いつの間にか僕の後には長い行列が出来ています。遠足の先生の気分です。すぐうしろのおばあちゃんと目が合いました。お先にどうぞ。かましまへん。おにいさん先に乗っとくれやす。二番目やさかいに座れますさかいに。◆やっときたバスは思ったより満員です。詰め込まれるように乗りました。一番前のつり革を持ちながら後ろを見ると膝の上に大きな薔薇の紙袋を載せて座っているおばあちゃんがしわだらけの手を振ってくれました。