休みの日の校庭/達富 洋二

休みの日の学校でひっそり物思いに耽るのは教師の醍醐味です。列を乱したまま動かない机は昨日までの喧噪を懐かしんでいるようです。◆校庭に転がるサッカーボールも迷子のように風だけに身を任せています。築山の向こうからひょいっと誰かが手を振りそうですが、飛行機雲が高い空をすうっと横切るだけです。◆石榴が旬です。たわわになっています。まだまだもう少し、と子どもには言っていたのに休みの日に見ると食べ頃に見えてしまいます。◆青く晴れ澄んだ木曜日の昼に石榴狩りの練習をしました。あの実が割れているよ。こっちの方が色が濃いよ。口々に出てくる言葉は喰い意地というよりは目利きです。◆石榴の食べ方は上品にではなくこうして手に受けて口に放り込む。ぎゅっと舌に力を入れて味を搾り取る。そして最後はぷぷっと吹き出す。こんな真似は一度で覚えられるようです。笑顔のかたちまで思ったとおりです。◆さて週末。明日はブランコの上で物思いに耽りましょう。