天王寺の喫茶店/達富 洋二

スワンの階段を下りた右側の手前の壁にもたれてコーヒーを飲みます。いいものですよ。田園のコーヒーもいいですよ。さっきの角を左に曲がればすぐです。達富さんにも飲ませたい。◆しかし木村屋がなくなったのが残念です。あそこはよかった。本当に残念です。何時間でも何日でも座っていられる場所がなくなってしまいました。◆二年後の六月四日。清原先生はこっそりと旅立たれた。ほんとうにひっそりと。天王寺のコーヒー屋の味を絶妙で平易平明な言葉で表すすべを教えてくださらないままひっそりと逝ってしまわれた。