自転車で町を駆け抜けて学校まで通っています。毎朝すれ違えば自然と会釈が生まれてきます。そんな出会いを楽しみつつも新しい道を探すのもおつなものです。◆今週は寺之内通りを大宮の手前で曲がってみました。いつもと違う朝。兄弟が一本の傘に肩を寄せて家を出てきます。ごみ袋を抱えて家を出る子どもがいます。帽子をかぶった小学生のうしろでおばあちゃんがいつまでも立っています。◆町はもうすでに動き出しています。機の音が町に響いています。自転車の荷台には糸の枠と緋が乗せられています。路地のどんつきのお地蔵さんからはお茶の湯気。◆夕景。路地は騒がしさの中にも落ち着きを取り戻します。一日の終いの菜っぱを積んだ大八車を引いて歩く加茂の振り売り。問屋さんからの新しい縦糸を運ぶ出機の自転車。野球帰りの少年。◆木曜日は早く帰りました。朝と同じ角を曲がるとテレビのニュースの声。お茄子とお揚げを炊いたおかずの匂い。立ち待ちの月がまだ乾ききらない打ち水に白い光を落としていました。