放課後の教室/達富 洋二

放課後の教室が好きです。子どもとたくさんの話をすることができるからです。一緒に遊んだり、歌ったり、絵を描いたり、かけっこをしたり、かなりの忙しさです。◆子どもたちが帰った教室でぼんやりするのも好きです。一人一人の机を眺めては一日の様子を思い出します。考え込んだり勘違いをしたりしたことを思い出して独りでにやりとすることがあります。◆叱ったまま十分にふれあわないで帰らせてしまった日は心配になることもあります。そんな時は次の日の朝を待ち、真っ先に声を掛けることにしています。自分の不十分さに苛立ちながらも、この教室で三十七の命と過ごせていることに幸せを感じています。◆昨日の放課後は一匹のトンボが教室に入ってきました。子どもたちに見せようと思い、しばし格闘。花瓶が割れただけでトンボはすっと窓から出て行きました。こんな話が次の朝の話題になるのです。「先生下手やなあ」の声が聞こえそうです。