高知帰りの土産の煎餅。深い赤色の袋と濃い鶯色の袋に入っている。◆それぞれの袋にちょっとした文章が書いてある。◆「流れても 流れても河」沈下橋のそばには大岩の淵があって、子どもたちは橋から競って飛び込みます。男の子も女の子も、まるい葉っぱをくわえ鼻をふさぐやり方を知っていました。◆「幼なごころも 飛び飛び はねる」夜になると、てんでに黒いえび玉を持って、ひざまで浸かりながらえび採りに出かけます。ランタンの明かりに、しゅっと後ろに飛ぶのを、そら、上手にすくいました。◆四万十川の景色がそのまま表されたようなこの短文にしばし思いを馳せる。最後に見た四万十は二〇年前。青い水面とカラスウリのだいだいが見事だった。吹いてくる風は石鎚山からのかたい匂いがした。◆久しぶりに高知に出会ったような気分。と言いつつ酔鯨をもう一杯。