葉桜見上げた/達富 洋二

一ヶ月ほど続いた花見の景色も終わりました。私の散歩途中にある平野神社も普通の風景に戻りました。一昨日のお昼は一人で静かな散歩を楽しみました。◆桟敷席も提灯もすっかり外されて神社はずいぶん広く見えます。桟敷がどのように並べてあったのか思い出せないのが不思議です。提灯はどこにぶら下がっていたのでしょう。◆道ばたの石に腰掛けてよく見ると地面には桟敷の土台がくい込んだ跡が残っています。ひと月も押さえられていたせいかそこだけはまだ春が来ていないようです。何とか暖かさを見つけようとしたのかカラスノエンドウがはすかいにのびています。◆軒下には小さな砂山が残っていました。見ると山に幾つものキリンビールの王冠が埋められています。大人の花見を待った子どもの悪戯でしょう。山のてっぺんにはりんご飴の割り箸が立っています。◆葉桜の上にはもう初夏の青い空が光っています。きょうは半袖で大丈夫です。学校が終わる頃でしょうか。なごりの花の向こうに大きなランドセルが踊っています。