葦簀/達富 洋二

あまりにも暑い日が続いたので葦簀を立てかけました。窓際の川魚の水槽も陰の中に入りアブラハヤも涼しそうです。◆適度な風が入ってくるこんな日曜日は縁側で枝豆という気分です。近所の子どもの声も気になりません。いそいそと栓抜きとコップを用意していると夕立。◆にわかに暗くなってきた空は酒のつまみにはなりません。見るとはなし向かいの物干しを見ていると葦簀を伝うしずくが微妙な動きをしているに気がつきました。◆ほんの少しの隙間をあけて織ってあるわけですからその間は雨だれの通り道になります。隙間が広すぎても狭すぎてもすうっとは動きません。あまりに広すぎるとしずくは止まり大きなレンズになってしまいます。向かいの物干しが逆立ちに見えます。◆二本目のビールに酔ったのかごろんと腕枕。地面が右頬に空が左目に。葦簀も角度を変えて見えます。伝うしずくはあみだくじのようです。右に曲がって左下に落ちて。そうそうそのまま下に。ぽとんと落ちた大きめのしずくの横をアブラハヤがつうと泳ぎました。