遠い国から来た女の子/達富 洋二

『昨日は十数年ぶりに先生にお会いできてとてもうれしかったです。言語を研究している先生にメールを送るのはとても緊張しますね。先生のお話がとても懐かしくて、楽しい時間を過ごせました。ありがとうございました。私にとって、やっぱり先生はいつまでたっても先生なんだなと感じました。美緒』◆先日の大阪での講演会。一時間ほど話したあとの休憩時間に一人の女性が演台のところにやってきた。質問でもあるのかなと思いつつも僕の口から出たことばは「美緒 久しぶり」◆「分かりましたか」「覚えてくれてたんや」「下の名前まで」「妹のことも覚えてる?」◆次々と発せられるかつての教え子のことばに僕はうなずいた。「先生が結婚したときやったやんな」「子どもも大きくなりましたか」あの時のことばと今の丁寧語とが混ざった美緒のことば。◆後半の講義は間違いなく小学校四年生の達富先生の授業になってしまったことだろう。