年の瀬

年の瀬、いい言葉。年末とか、暮れ、とかより、ずっといい。

12月29日、水曜日。朝の弥撒のあと、朝飯屋に寄った。週に一度、ずっと通っているけれど、大将は僕の名前も年齢も仕事も知らない。僕も言わない。僕も飯屋の大将以上のことを知らない。いや、ちがった。互いに安い釣りが好きだということは知っている。安い釣りとは、道具や着るものには必要以上のお金をかけないということ。昔ながらの道具を丁寧に手を入れて使い続けている。お金がかかるのはエサ代くらい。

きょうが年内最後の朝食。ちょっとしみじみして行った。今朝は丸干しも注文して少しだけ贅沢。

さて、勘定。

740円をお釣りのないように手渡したときだ。「やっと分かったけん。名前も仕事もわかったばい。ずっと、蚊取り線香ば売りよると思っとったばってん、ちごとったばいね。」「えっ。」「新聞に載っとたよ。見たけん。」とのこと。

載ったらしい僕が知らない新聞の僕を見て得意満面の大将。

「切り抜いて置いてあるけん。」となぜか40円のお釣り。

よか店、よか朝食、よか大将。

神様、きょうも一日をありがとうございます。この町でつながっていること、感謝しかありません。