あの日も同じように青い空だったはず。
僕の家の庭の栗の木と入道雲。越してきた年に祈念に植えた栗の木にこれでもかと実がなっている。
祈念の木。
たらふく食べよう。甘い栗をたらふく食べよう。そう願いながら。鳥も誰も地もたらふく食べてお腹を満たそう。身体を安心させよう。間違いをおかさないように命を安心させよう。
今年の平安はゼミ生と祈った。
11時2分。達富研究室には僕と佐世保に暮らすゼミ生。どちらともなく掌を合わせる。僕は十字を切りながら。
こうして穏やかに暮らせていること,こうして大好きな場所で安心して生きていること,こうして大きな愛に包まれて生かされていること。ぜんぶぜんぶ,あの日もそうだったはず。
ほんの少し何かが間違ったから。だったら,これからは,ほんの少しも間違わないようにしなきゃ。
ほんの少しも間違わないようにするために,まず自分の都合を捨てることを誓う。
僕の8月9日はそんな一日。
自分の都合を捨てる。長崎には平安がよく似合う。平安は長崎が約束する。
アレルヤ。