なにもないけど,仲間がいる北の大地に僕は帰ってきた。
馬のいる風景。僕にとっての非日常がたちまち見慣れた風景になる。そう,ここは北の大地。
三日ほど前,この看板を見に来た熊がいたらしい。怖くないはずはないけど,熊除けの鈴と撃退スプレーとを揺らしながら,川へ。
もちろん釣りたかったけど,釣ることが目的ではない。北の大地を流れる新冠川。この川面を見つめるだけで遠く地の果てまで思いが流れて行く気がする。
このすがすがしいひとときに僕はただじっと糸を見つめる。
ハナミズキ,満開。
陽が落ちるとたちまち肌寒く感じる。
国鉄日高線跡。この上を揺られたことある。日本中のユースホステルを泊まり歩いていた頃。あの頃、こんな大人になんかなりたくなかったはず。
砂浜に小さな花。
その横に山のように積まれた広葉樹の丸太。
すうっと息を吸い込んだら北海道の味がする。
新冠が大好きだと叫びたい。
神さま、きょうもいつくしみをありがとうございます。
日高。きょう、僕は、息を吸うことを意識しました。
夜はこのあたりでいちばんの酒処「徳庵」。
美味いに決まってる。