重さはマイナスではない。いい加減で無自覚に通り過ごすわけではないということ。
僕が待っているのも本当、僕を待ってくれているのも本当(であってほしい)。
いつもの鞄に着替えと土産と手帳と水彩絵の具を入れていた昨夜。そうそう、マフラーと手袋をって、追加。北の大地はどのくらい寒いんだろう。
手帳にどんな言葉を綴って帰路を楽しむか。下手な水彩のはがきをどこに向けてポストに入れるか。
そんなこんな思いを巡らしながら旅の重さの楽しみがはじまる。
飛行機から見える日本は冬のはじめの装い。
日本アルプスを過ぎてしばし。ひときわ目立つ美しい山を見つけた。「あれはなんていう山ですか。」
「鳥海山です。」CAさんには見なくても分かるんだろう。すぐに教えてくれた。こんな風景の上を毎日飛んでいたら、ものの見方も違ってくるんだろう。僕にとっての日常の風景って、どんなものなんだろう。
そんなこと考えながら新千歳。きょうはバスで新冠まで行くつもり。3時間ほどのバスの旅に心がおどる。昼ごはんは駅弁と決めている。南千歳駅の「北海道 汐彩弁当」と決めている。それをバスのいちばん後ろの席に座って食べるって決めている。
計画通り、お弁当を手に入れた。
苫小牧駅で7分間の連絡でバスが出る。その間、サッポロクラシックを買わなきゃ。
おっと、バスが来ているぞ。お客さんも乗り込んでいる。急げ、急げ。
見事、いちばん後ろの席に腰を下ろして鞄を食卓がわりにして「いただきます。」
北寄貝もつぶ貝も鮭もいくらも何もかも美味しい。
車窓の景色はデザートだ。
バス停の数82。ようやく到着。
神さま、きょうもいつくしみをありがとうございます。