1970年「人類の進歩と調和」をテーマに開催された大阪万博を機に開業したこのホテル。近く閉業するとの報せを聞き、もう一度か二度は泊まっておきたいと思っていた。
そしてきょう。
滞在時間5時間弱だったけれど老舗ホテルを楽しんできた。
フロントで受け取るキーがいい。何人もの旅人がこれを握りながら絨毯敷きの廊下を歩き部屋に向かったんだろうな。
重たい扉を開けて部屋に入る瞬間がいい。安っぽいホテルにはない安心感がある。調度品の輝きがいい。ほこりひとつない棚に行儀よく並んでいるグラスや栓抜きがいい。
結局、仮眠程度の眠りとバスタブに身体を沈めただけだったけれど、何とも言えない安らぎをもらった。
チェックアウト。振り返った玄関はやっぱり貫禄がある。いいホテルとはこういうものだ。
空には細い朝のお月さん。
神さま、きょうもいつくしみをありがとうございます。




