京都のまち

生まれ育った町というのは歩くだけで包まれている感じがする。生まれてすぐに吸った空気は肺のいちばん奥深くにずっと残っている、って

何かの小説で読んだ。

だから懐かしいんだ。この公園は僕らの遊び場所。泥だんごづくりも山すべりも野球もここ。この木は、野球をするときの3塁ベース。

一日中、遊んでいた。とにかく外で遊んでいた。いつも友だちと一緒にいた。

道路から家の中の時計を見ることができる場所や、叱られずに手を洗うことができる水道、雨宿りに絶好の大きなひさし。必ずカマキリを捕まえられる草むら。この町の遊び場所のことなら知らないことはなかった。

今朝の散歩。今となってはどれも残ってはいなかったけど、3塁ベースの木と古い御堂には会うことができた。

京都。いつまでたってもこの空気こそが母だ。