絶好の機会を逃したわけではない。つらいことが続いているわけでもない。万事休す、で天を仰ぐのではない。
僕は、きょう、天を仰ぎに行こうと思ってる。「天を仰ぐ」。そう、まさに天を仰ぎに行ってくる。
8時15分。洋上でこの時間を迎えた。
夏の甲子園もなく、未だ慣れない今年からの距離感の中、75年目のこの日はあたりまえにやってきた。
心の準備も調えていないのにきょうがやってきた。
人として、この時間に何を思えばいいんだろう。何を誓えばいいんだろう。僕はそんな簡単なことも分からないまま、洋上で祈ることしかできない。
二等客室には誰もいない。
舟をおりる。見慣れた島。また帰ってきた。
きょうはじっとするためにここに来た。語りかけるために来た。声を聞くために来た。
それだけ。それだけなのにどうしてだろう,この満たされた気持ち。
お昼は馴染みの店でいつものちゃんぽん。
昼からも同じ。語りかけ,声を聞く。それだけが僕の日常を満たす。
帰りは教え子が駆けつけてくれた。
この男。絶対にいい奴。
神様,きょうもいちにちをありがとうございます。満たされた8月6日にただひたすらに感謝です。