後かたづけ/達富 洋二

整頓はできても整理ができない。これは「超整理法」での野口悠紀雄の言葉。整頓はかたづけること。整理は秩序をもって整えること。見た目は美しくても必要なものがなかなか見つからなくては困る。◆仕事に取りかかるときは部屋や机の掃除からはじめる癖が僕にはある。深夜であっても徹底的にする。雑巾がけが終わった頃には夜が明けていることも少なくない。◆そしていざ机に向かうと必要なものが出てこなくてやる気をなくしてしまったことは数え切れない。まさしく整理能力がない。◆普段から綺麗にしておかないからだと母からよく言われた。分かっていながらできないのが「整理できない症候群」である。◆母の台所は機能的である。物はたくさんあるが秩序をもってならんでいる。右手で使うものが左に片付けられることはない。何よりも見事なのは料理ができたときには元通りになっていることである。つくりながらかたづけているのである。◆できることは先にやっておくだけや。温いものは温かいうちに食べたいし。何気ない言葉が妙に重い。