縁側/達富 洋二

こげ茶色と黒と灰色の混ざった感じ。畳と線香と夕立ちのが重なりあったようなにおい。それが縁側。◆庭には柿の木。その向こうに隣のすだれが揺れています。家の中からはテレビの声。おばちゃんの歩く影がすだれの隙間を動きます。すいかを食べ終わった僕は縁側に座ったり横になったりしながら本を読みます。◆ひんやりした縁側の板。ごろんと頬杖ついて本を読む。肌が板に触れたときのひんやりはいくつになっても気持ちいいものでした。肘に板のかたちの線がついてそれはそれで結構痛いのですがやめられません。◆「昆虫記」も「怪人二十面相」もここでこうしてよんだものです。川端も立原もエンデもそうです。◆座り疲れたらごろんとなって読む。ひんやりして読む。あたたまってきたら新しいひんやりを求めて少し移動。二回寝返りを打つと右足の親指が入ってしまうほどの節穴があります。本を読みながらその節穴にすいかの種をいくつも落としたことは今もひみつです。