[は]の引き出し

大学の総務課には個人用のレターボックスがある。学内の連絡や個人宛の郵便物がここに届けられる。きょう、16枚のはがきがレターボックスに入っていた。透明のケースに見える小学生の文字に胸が高鳴る。

先日、授業をさせてもらったクラスからだ。

「苦手な国語が少しすきになりました。」の「少し」がいいじゃないか。

担任のナカエリ先生がうんと教えたいちばん最後に僕が乗っかっただけ。それなのにわざわざはがきをくれたんだ。

「たつとみ賞」を届けることはできないけれど、この一葉は間違いなく僕の自宅の「[は]の引き出し」に入る。

ありがとう。ほんとうのありがとう。

ところで、[は」の引き出しとは・・・・・・

向田の「うの引き出し」を真似をしてつくったもの。

まずは、[う]の引き出し。これは「美味いもの」を入れておく引き出し。全国の美味い店の包み紙や説明書、割り箸袋、名刺などが詰め込んである。最近は舌が肥えてきたのか、引き出しが窮屈になったのか、かなりのレベルにならないと引き出しに入れてもらえない。

つぎに、[た]の引き出し。これは「旅の思い出」をしまっておく引き出し。切符や入場券、地図や絵はがき、旅の途中の色づいた葉っぱ。ここ2年、閑古鳥が鳴いている。

そして[は]の引き出し。何度も何度も見返したいはがきがここにある。何度も読み返すので時系列での整理は不向き。とにかくざっと入れてある。きょうの一葉もここ。きっとたびたび見ることになる。

神さま、きょうも一日ありがとうございます。なんともいい気分の金曜日です。