中学生の頃だっただろうか。「夏休みの100冊」というような企画があり、書店のレジの横に小さな冊子が積んであった。手に取って驚いた。どれもこれも読んでみたくなる短い文が添えられた100冊の本の紹介集である。
勇気を出して「いくらですか」とたずねたら、「持っていってもええよ」とのこと。
後年、無料であったことを知って安心したが、その当時は、本に興味をもった中学生を応援するためにおじさんがプレゼントしてくれたものだとばかり思っていた。
そこから僕の読書生活がはじまった。
夏休みは部活の野球と読書。
カフカ 『変身』
カミュ 『異邦人』
モンゴメリ 『赤毛のアン』
リチャード・バック 『かもめのジョナサン』
井上靖 『あすなろ物語』
梶井基次郎 『檸檬』
太宰治 『斜陽』
中島敦 『李陵・山月記』
森鷗外 『山椒大夫・高瀬舟』
これらは文学へのいざない。
ドストエフスキー 『罪と罰』
ヘッセ 『車輪の下』
ヘミングウェイ 『老人と海』
ゲーテ 『若きウェルテルの悩み』
サガン 『悲しみよこんにちは』
井伏鱒二 『黒い雨』
三浦綾子 『塩狩峠』
安部公房 『砂の女』
遠藤周作 『海と毒薬』
遠藤周作 『沈黙』
谷崎潤一郎 『痴人の愛』
三島由紀夫 『金閣寺』
これらは大人への導き。
今年の夏、100冊を目指している。8月7日で49冊。猛烈に楽しい。
つまらないことは何処かに置いてきた。僕は本と一緒に雲隠れ。
とにかくいちどリセット。これを今年の口ぐせにする。
神さま、きょうもいつくしみをありがとうございます。