この祝福のとき、祝婚歌

僕のいちばん歳のはなれた友だちの結婚式と披露宴が稲佐山の美しい場所でひらかれた。

結婚式。新郎新婦が何をしてもみんなのカメラがそれを追う。ベールにふれても指輪を握ってもそっと腰を押しても微笑んでもカメラは絶妙な時をのがさない。

僕の目は白い洋服をまとった二人だけではなく、カメラを持つ色とりどりに装った人の顔にひきつけられた。だれもが本当に幸せな顔をしてそのときを見届け、見守り、ひとつの風景として残していたから。だれもが二人を愛していたから。

披露宴。僕は6人の仲間たちとお祝いのことばを届けにいった。

そして代表(?)して、二人に語りかけた。準備をしていた詩を朗読することはなかったけど、祝福の気持ちは届けたつもり。

いい日いい時、いい仲間。誰もが幸せだったねと笑顔に満ちあふれた1月27日。

……
ただいま紹介いただきました達富です。
祥平、あずささん、そして両家ご家族のみなさん、本当におめでとうございます。
祥平の友人ということなのでどんな男が出てくるのかとお思いだったでしょうが、ずいぶんと年の離れた男です。

実は、僕には明治39年6月生まれの60ほど年の離れた友人がいました。その方は、もう20年ほど前に天に召されましたが、その方の白寿のお祝いのとき、集まった仲間の前で僕のことを「いちばん年の離れた友人の達富さんです」と紹介してくださいました。若い僕には、それがたいそう嬉しく、以来、僕はいちばん年の離れた友人と呼べる友を捜しておりました。
そして、10年ほど前、長崎大学で祥平と出会ってからの僕は、急激に若返り、「いちばん年の離れた友人」である祥平と国語教師のライバルとして、また親しい酒ともだちとしてつき合ってもらっています。
そしてきょうは、新郎新婦にお祝いを告げる使者として大抜擢されたわけです。感謝に堪えません。

あずささんを紹介してくれたのはもちろん祥平ですが、僕の大好きな祥平が惚れた女性ですから、間違いありません。あずささんあっての祥平です。
あずささんは妻の話にも心と耳を傾け、楽しく話をしてくれます。僕と妻と4人、思案橋で飲んだときから、僕たち夫婦は、きょうのこの日、二人がともに歩みだす日を、まるでクリスマスを待つ子どものように楽しみにしていました。待つ時間は感謝と賛美を育てます。

あずささん、祥平のことはどんなことでも知っているでしょう。

カンペキを求めようとするのに出だしの遅い祥平、
甘えん坊のくせに心を語らないことがある祥平、
丁寧に生きていこうとするからこそ何処か抜けてしまう祥平、
だけど失敗を人のせいには絶対しない祥平。
大好きな人を包み込む愛情は世界一なのにそれを言葉にするのが苦手な祥平。
どんなことがあっても相手を守る祥平。
そう、その相手とは、あずささんのことです。

僕が結婚する前、結婚を決めた僕に、僕のいちばん年の離れた友人が一篇の詩を贈ってくれました。僕はすぐにその詩集を妻になってくれる人に贈りました。以来、この詩は僕たちにとって神さまのみことばのような存在です。きょうは、僕と妻、二人から、祥平とあずささんにこの詩を贈ります。

(訳があって「祝婚歌」朗読できず)

祥平、あずささん、どうぞ、互いを信じ、互いをゆるし、感謝のうちに歩みを進めてください。
愛されたいと願うよりも愛することを生涯の仕事とし、
弱い自分が出てしまうときがあっても、
小さな心に涙おとすときがあっても、
貧しい考えに迷うときがあっても、
互いの声を聞き、分かち合い、感謝のうちに日々を過ごしてください。

弱い自分は互いに見せ合えばいい、小さな心は二人で大きくすればいい、貧しい考えのときはじっと待てばいい。

祥平にとっての「とっておきの場所」はあずささんのために、あずささんの「とっておきの心」は祥平のために、毎日、互いを迎え入れてください。
二人のことが大好きな、きょう、ここに集う誰もが
二人のこれからに大きな安心と平安を信じています。おめでとう。


……

神さま、きょうもいつくしみをありがとうございます。

 

2024年1月27日 | カテゴリー : 恵みに満つ | 投稿者 : Paul.TATSUTOMI