もてなすのが好きだ。
島原の絣を栗の木の机に敷く。朝からことことと煮込んだ鶏がら。京都から取り寄せた豆腐。農家直送の葉野菜。さっきまで生きていた鰺のなめろう。もちろん生姜も大葉も折れそうなほど新鮮。
二日目は海辺。とっておきの備長炭を熾してお気に入りの七輪に入れる。その上でじっくりと地鶏を炙る。さざえは大村湾の小粒。これならいくつ食べても腹をこわすことはない。
最後の夕飯は海風を正面に受けるテラスでタコス。レタスも具材もチーズも好きなだけ盛り合わせて頬張る。顔が緩む。声も緩む。時間も緩む。
客人が捌いて網に並べた鰺の一夜干しの朝食も,五島うどんの地獄炊きの昼食も平らげる客人に僕はもっと企てたくなる。喰わせたいものはまだまだある。胃袋がひとつしかないのが残念だ。
語りながらの食事が美味いのか,美味い総菜だから話が弾むのか。飲んで酔っ払っているだけなのか。とにかく,客人をもてなすのが好きだ。