五島のトラさん ~父親と家族の22年~

土曜日。久しぶりに虎さんと会った。相変わらずの男だった。

ぼくの小学校の先生としてのスタートは五島。そのとき,はなえの担任をした。はなえの親父が虎さん。頑固で曲がったことが大嫌いで,そして涙もろい男が僕は大好きだった。意見は合わないことの方が多い。人の話を聞かない(お互い)。自分の話していることが分からなくなったら「もうよか。」と締めくくる。とっくみあいをして居間のガラスを割って母ちゃんに叱られたこともある。すごすごと二人で飛び散ったガラスを片付けて,また飲んだ。

「夕方とれたもので飲もう!」というのがいつものこと。それがイカの時もあればクロのときもあれば,マンボウの時もあった。何かよく分からないものを喰わされたことも多い。イソギンチャクや何処にでもくっついている貝も喰わされた。どれも美味かった。洗面器ほどの牡蠣を連れて帰ってきた時の虎さんは末っ子の竜之介よりも少年の顔をしていた(当時は7番目はまだいなかった)。海の神様と言いながら手を合わせて喰った。そうそう,男だったら「セブン」,女だったら「なな」と遠くの海を見ながら語り合った。

芋焼酎を生で飲むことのかっこよさを教えてくれた。テレビに文句言うことの楽しさを教えてくれた。「間違っている!」と言うことの正しさを教えてくれた。「無礼でもいいけど卑怯にはなるな。」と叩かれた。「家族は自分で鍛えんばっ。」て叱られた。「おいらは二人ともどもこもならん男よっ。」と笑い合った。

久しぶりの虎さんは,やっぱりかっこよかった。

ひと/虎さん02

虎さん,会いたか。飲みたか。ざあまに話したか。

http://www.ktn.co.jp/program/program_2015_torasan/

2015年5月30日 | カテゴリー : 家族 | 投稿者 : Paul.TATSUTOMI