先輩というのも違う。師匠というのも固い。友だちと言いたいところだけど,ちょっと失礼な気がする。同志,かっこいいけど。ということでやっぱりリエコ先生。
そう,リエコ先生からの贈り物。鹿児島土産。焼酎と薩摩揚げと知覧の新茶。どうして僕の好物をご存知なのか。見事に選び抜かれたこれらの品々に僕は明るいうちから舌鼓。
この薩摩揚げの歯ごたえは,いつも中央駅で買って帰るものとは違う。柔らかいとか固いとかそんなんじゃなくて,跳ね返ってくる。すり身の新鮮さと揚げた衣の力強さが跳ね返ってくるとき,懐かしい香りを連れてくる。なんとも贅沢。
なんなんだ,このフルーティーな厚み。焼酎なんだけど焼酎じゃない。樽の香りに包まれた舌がなんともあたたかい。長い時間,口の中に居座る。新技と書いてARAWAZAと読ませるこの焼酎。深紅のラベルが瓶の中のトパーズしずくをぎゅっと締め付ける。なんとも情熱的。
酔い覚ましは新茶の甘み。新茶の色。新茶の香り。とろとろ,って音が聞こえる。ころころ,って動きが見える。しいんとした空間に知覧の時間が流れる。知覧のお茶ってこんなに甘かったんだ。こんなに穏やかだったんだ。星々の悲しみと絶え間なく流れ続ける三角の波のつぶやき,知覧の風景。瞳を閉じればそこに海と里とがある。
南蛮渡来のステンドグラスの前に置いた瓶はちょっと油断しているように見える。誰にも見られていないと思って油断しているに違いない。
リエコ先生,うまか酒,ざあまに楽しませてもらいました。