向かいのホームに青い電車が止まっています。南宮崎と書かれた行き先が魅力的。動き出すまでのわずかな時間に僕は片足だけ車内に入れてみました。◆広島を通って九州に入って大分経由で宮崎。頭の中の地図を青い電車が動きます。広島は夜で大分が夜明けで宮崎が朝。時計を重ねます。賀茂鶴と麦焼酎と冷や汁。美味いものが重なります。◆出発を告げる車掌さんの声。ホームから窓越しに車内が見えます。寝台のシーツの準備をしている大学生。浴衣で二本目のビールを空けている男。ほっぺのご飯つぶを取ってあげている母親。ヘッドホンに無表情な若者。◆小さくなっていく赤い灯が上に下に揺れます。京都駅は旅のはじまりでもあるし途中でもあるんだなあと独り言。◆改札の前でポケットの切符を探していたとき函館行きの電車の時間が案内に出ました。富山を通って新潟経由で函館か。ホタルイカの沖漬けにカニ汁にいか素麺。少し寄り道して銘酒八海山。ああ旅に出たい。