雪の日は屋上で/達富 洋二

雪の朝は屋上に行くことになっています。せがまれたわけではありません。むしろ私が率先しているのかもしれません。北区の町並みが白く飾っている景色は非日常です。◆愛宕や比叡は真っ白です。見えない日も少なくありません。大文字はふだん赤土の部分が白くなりちょっとへんです。子どもたちも吹き出しそうです。◆学校の屋上にも雪が積もります。この冬の最大積雪は一〇センチくらいだったでしょうか。屋上の端まで行って三〇センチくらいの雪だるまをつくる子どももいます。ひたすら滑っている子どももいます。私の黒い洋服めがけて雪玉を投げ続ける子どももいます。◆私も負けてはいません。とは言うものの子どもは雪の子。次から次と攻撃です。つもっていた白い雪がおおかた足跡で踏み尽くされた頃教室に戻ります。◆階段をおりながら「先生手冷たい。」と握ってきます。まだまだ小さいその手は赤くなっています。ぎゅっと握っても痛いらしくそっと包みます。ですが次回もこの手に私はやられるのです。