7時17分。車の通る道を横切る若葉ちゃん。はじめて会ったのは入学式の数日後。その道を渡りきったところまでお母さんが送ってくれる。二年生になってからは一人で道を渡るようになった。お母さんは無事を見届け、道の向こうとこっちで手を振るのが「行ってきます」「行ってらっしゃい」だ。そして今年の春からはお母さんは家の玄関から道を渡るのを見守っている。
親子で一緒に渡るときも、お母さんの前で若葉ちゃん一人で渡るときも、若葉ちゃん一人でみぎひだりを見て渡るときも、ぼくの白い車は若葉ちゃんの前で止まるのを楽しみにしてる。
少し大きめのぼうしをかぶって歩くランドセルの若葉ちゃん。ぼくがその場所にたどり着くまでの信号の加減や渋滞の具合で、会えない朝も背中を追いかける朝もある。今朝はぴったりだった。若葉ちゃんがみぎひだりを確かめているときに白い車を止めた。ぺこりと頭を下げて渡る若葉ちゃん。右手をのぞくと旧家の玄関先でお母さんもぺこりとしている。
そんな朝の時間は窓を開けてすうっと青い空気を吸いたくなる。勝手に名付けた若葉ちゃんって名前もずいぶん気に入ってる。