ひさしぶりの研究室。暮れに鍵をして帰ったときと何一つ変わっていないのに何かが新しい。本棚に片付けず,木製の大きな机の上に置きっ放しにしておいた一冊の本が今にも動き出しそうだ。
そう,今年はこの本から読み始めるつもり。
窓をぜんぶ開けて,薬師寺の香を焚いて,モンブランの太い万年筆にインクを入れて,紀伊國屋の原稿用紙に新年の抱負を書いて,一保堂のお茶をいただいて,書いたものを読み直して,それから,今年の読み初め。毎年のきまりごと。この読み初めが今年をつくる。
読み初めの本の題名は誰にもひみつ。