確か、3日前は長崎県五島列島だったよな、と振り返りながら、苫小牧からの地元の路線バスに乗ること3時間。停留所の数は90ほど。右手の海の色が夕焼け色に変わる。
「診療所前」のバス停に降りる。「ずいぶん大勢の人がバスに乗るんだなあ」と鞄を提げて気づいた。バスの乗るお客じゃない。バスを降りる僕を待っていてくれたんだ。
「日本のどこかに、わたしを待っている人がいる」
そんなことはないんだけれど、こうして迎えてくれると「もしかして待ってくれていたのかも」なんて、うれしいやらはずかしいやら申し訳ないやら。
この町をたずねてもう3年以上になる。一方通行の思いでもいい。僕は、北の大地に確かに立っていることがうれしい。
さあ、明日は1年生の授業。心待ちにしていた1年生の授業。
宿に着くと、
襟裳岬に続く空に、子どもが飛ばしたしゃぼんだま。
北の大地。僕はただ被造物の一つであることを実感しながら、大きく息をした。
神さま、きょうもいつくしみをありがとうございます。