おもひでぽろぽろ、味

しいたけ、小芋、茶碗蒸し。しいたけと小芋は12歳までに一生分を食べた。かぼちゃも切り干し大根もおからも、生まれ変わっても食べることはないだろう。いわゆる庶民の和食と訣別宣言をした僕なのに、好物を聞かれると、「しいたけと小芋」と口からするっと出てしまう。

京都の上七軒でも東京銀座でも金沢片町でも長崎思案橋でも、今の僕は「しいたけと小芋」。

そして、母の味と比べては「この店にはもう来ない」とこぼしてる。

母の味を再現できるのは僕と兄しかいない。

神さま、きょうもいつくしみをありがとうございます。