おもひでぽろぽろ、色

京藤色、薄藤色、若紫に葵紫、桔梗紫に紅桔梗、花紫、本紫、藤鼠、梅紫、母の和箪笥からは紫の着物が溢れ出る。

京都紫野の地に嫁いだのも何かの縁。

僕はいま、教会のミサで司祭が紫色の祭服を着るとき、まずは母を祈る。

陽がのぼる前の空、一日の終わりの夕景の空、そのすきまの何処かに必ず漂う紫色の流れ。夜の帳が下りたあともすうっとたなびく大村湾の水面にも紫の波。

神さま、きょうもいつくしみをありがとうございます。