春分の日があたたかい

春分の日の午後。

僕は庭で将吾とチェーンソーで薪しごとをしていた。新しいチェーンを取り出したとき、空袋が風に吹かれた。すすすっとはるさんが袋を追いかけ、ポケットに入れた。何もなかったかのように。

僕はいいなあ、この身のこなし。と気持ちよくなった。

将吾のチェーンソーの扱いも少し慣れてきたようだ。エンジンに踊らさせていたのが、操れるようになってきた。はるさんはにこにこ見ている。ずっと見ていたいみたいに。

僕はいいなあ、この時間。と心地よくなった。

大きなお鍋のおでんが温まり、薪でナンとスペアリブを焼き始めたとき、祥平たちがスイーツを持ってやってきた。実は祥平とは昨夜も一緒だった。長崎おでんで平戸のお酒の次の日は、たつとみおでんで黒ラベル。

子どもは泣いても笑ってよだれを垂らしていてもあたたかい。口もとを拭う母ちゃんもあったかい。

来れば帰るもの。がらんとなった駐車場が妙にだだっ広く感じる。

だったらもうひとがんばり。

将吾とおそろいのオレンジのチェーンソーで日が暮れるまで切り続ける。