大村湾のキス

ポチョンとひとつ音をたててキスが海の中から出てくる。釣り上げたというより,出てくるがふさわしい。

肘たたきに会えると,もう一度!って力が入る。力が入りはじめると大村湾の海面からの冷たい風がすうっとカヌーを揺らす。日も落ちている。空が明るい分,海面の向こうは闇だ。点けっぱなしにしてきた部屋の丸窓が明るく光ってる。さあ,納竿。

ポチョンともうひとつ聞きたかったなあと,せがれと家に向かってカヌーをこぎはじめた。