朝からやけに野鳥が集まってくるなあと思ってた。日が高くなるとその声も止んだけれど,夕方5時の「夕焼け小焼け」が流れる頃にはカラスまでやってきた。何が目当てなんだろうと庭に出てみると,いつの間にか山桜にさくらんぼがなっていた。風呂から眺めたり,花びらを映して飲んだりしていた頃からひと月も経っていれば実もなるはず。薄い緑色から完熟の紅までの濃淡の粒が緑の葉っぱの中にばらまかれて美しい。
そんなに鳥に人気ならと,紅を一粒。
まったく予想外の味。ぺっと吐き出した。その小さな粒を柴犬の月海がぺろりと舌に乗せ,これまたすぐにぺっと吐き出した。一部始終を見ていた妹の星海は粒に近づくこともなく飛行機雲を見ていた。