庭に銀杏の木を植えることにした。屋根よりも高い木ともなれば,素人仕事では銀杏に申し訳ないので職人に相談することにした。根を切って運ぶことから習おうと思っていたのだが,職人は地面の見方と土のさわり方から水の流し方まで教えてくれた。
いちいち納得。これまでかかわってもらっていた園芸屋の兄ちゃんが偽者だということがわかった。あいつはあかん。
木を植えるということはデザインすることだけではない。見栄えだけではない。生き物である木をそこで生きながらえさせること。その木と一緒に生きていくことだ。
考えてみれば,この銀杏。間違いなく僕よりも長生きするはずだ。やがては大村湾を通る船からの目印になるかもしれない。長崎空港を離着陸する飛行機から黄色い葉に手を振ってくれる人がいるかもしれない。
ほんとうに仕事のできる人。それは20年,30年先を見ている人。今を生きている人。かかわった人をだいじにできる人。自分を愛せる人。だから人も愛せる人。
この銀杏の木の名前が決まった。「かわかみさん」。今年の秋は黄色い「かわかみさん」に会える。