甥っ子とはいいもんだ。うんと幸せになってほしいと願ってしまう。
その甥っ子の父親の誕生日に甥っ子とビールを飲んだ。つまり僕の兄貴の誕生日に兄貴の息子と飲んだということ。それがすこぶる楽しい時間だった。生ビールでの乾杯だけで目頭が熱くなる。さとられまいと,普段,何を食っているのかわからない一人暮らしの甥っ子に余計なお世話とは知りながら,上等の和牛をどんどん注文することにする。僕よりもずっと野球のことを詳しく知っている甥っ子にいろいろ習いながらのビールは格別だ。
そんななんでもない話のすき間に,彼の将来のことなんかもぽつりぽつりと。
頼りにされていることはないだろうけど,まかせとけ!なんて気分になってしまう。「改札まで送りましょう。」なんて言葉が出てくるとは思わなかった。いいよいいよ,と手を振りながら別れたけど,もう一杯,ウイスキーでも行きたかったなあと振り返ったとき,彼と目が合った。
幸せになれよと,帰りの特急の窓ガラスに映る自分の目元のしわを見ながら彼の若い肌を思い出していたらLINEが届いた。「またお願いします!」。
この「!」がたまらなくうれしい。そう,また行こう。