きょうは静かな研究室。お客さんもほとんどなし。時折の雨。こんな日はお昼も抜き。
読みはじめられなかった本。匂いを楽しみながら帯を表紙の内側に移す。もちろんその前に手をきれいに洗って。
返事を書きそびれていた葉書。相手とのこれまでを思い出しながら手持ちの絵葉書から一枚を選ぶ。小磯良平と雲仙普賢岳とスタジオジブリと江戸小紋。万年筆のインクが染み込む。
研究室にかかるタペストリー。運動会の空の色の秋物。柔らかい生地がゆれるとまだ青いみかんのにおいがしそう。
ゆったりと時間が流れる。こんなとき、ぼくはこの研究室にいてよかったなあと思う。もっと心地いい研究室にしたいと思う。何か生まれそうな予感のする学問とちょっぴり疲れて行き先の分からなくなりそうな学問をそっとここに置いておきたくなる。