紅葉舞う京都

講演の演台横に飾られた真っ赤な紅葉。この時期の京都の美しさをぎゅっと閉じ込めたようだ。その赤い景色の横、あたたかな紹介をしてくださる校長先生の京都イントネーションの声に僕はすっかり落ち着きを取り戻した。

全部で7つの教室で繰り広げられた学習の向こうに、それらを支えてきた学年の日々があり、その基底に職員室の力がある。昨晩までのひたむきさを思うと、授業教室を巡るだけで胸が熱くなる、教室の掲示物にふれたくなる。昨年度から、ずっと、全部、まるごと応援したいと思ってきた。

3分間延びてしまったのはみっともないけど、僕は話しながら熱くなっているのを隠せなかった。語りたい、届けたい、もっともっもという感情は往々にして上手くいかないことが多い。分かってはいるけど、熱くなったのは紅葉の赤が鮮やかだったからだけではない。

閉会。教頭先生の謝辞。もったいない言葉が並ぶ。そんなにたいした話ではなかったのに。でも、もっと届けたいこともある。

すっかり暗くなった足洗いの料亭の窓ガラスの向こうにライトに照らさらた山紅葉。葉の先までぴんと伸びたままの赤は誇っているようにさえ見える。

きょうは赤い一日。紅葉舞う京都。僕はこの赤の中にもうしばらく居たいと思った。