馴染みの店

確かにこの道のはず。スーパーを曲がって高架の前。しかし、ない。

そうだそうだ、違った。もう一本手前の道だ。郵便局の角。でも、ない。

今度は線路の方からたどった。やっぱりない。

物忘れがひどくなった。自己嫌悪。昼は抜くことになりそう。と思ったけど、もう一度。今度は電話をして確認。

電話の向こうの声は馴染みの声。「引っ越ししたんですう。」って。

僕の物忘れのせいじゃなかったことに安心しながら産んで再開。「ですう」って、伸ばしながら「迷わせてごめんなさい」って伝えてくれたお店の人とお気に入りの餃子に会えたのは午後2時半を過ぎていた。