観覧車に乗せて

僕はこの学校のスーパーバイザー、らしい。といって、実はスーパーバイザーって何かよくわかっていない。その名前の意味はわかっていないんだけれど、僕はここに生きている教師たちのことが大好きだ。

毎回、下駄箱に小さないたずら心のこもったメッセージを添えて迎えてくれる男がいる。大村はま先生や有田和臣先生に学び、菊池省三先生に師事している勉強家で恥ずかしがり屋の大男がいる。自分のことはいちばん後回しにして職員のことに心を寄せる姉さんがいる。

とにかく目の前の子どもにがむしゃらに付き合っていく教師たち。若手も新任もベテランも、一気に集まる、一心に取り組む、ひとつになって子どもを守る。そして、みんな涙もろい。語気を荒げながら子どものことを心配し、目尻を下げて子どものことを語る。この教師たちの身体の中にはいつも子どもが棲んでいる。

自分は教師なんだと権威を振りかざす乱暴ないばりん坊など一人もいない。授業を固定化した自分勝手な見方だけで評価するような権力者はいない。子どもを見ようともしないで決めつけたように子どもを語る横着者など存在しない。誠実な仕事人ばかりがここにいる。

こんな学校、ほかにどこにもない。どこにもありはしない。

だから、もう少しだけがんばろう。

僕はこの教師たちと同じ時間を生きていることを誇らしく思ってる。

万博公園の観覧車が遠くに光っている。少しだけ遠回りしてホテルに帰ろう。

きょうの余韻をあの観覧車に乗せてくるくる回してみたい。この余韻を光の粉にしてみんなにふりかけたい。教室の感動って、本当に美しいんだって、観覧車のてっぺんから叫びたい。

ありがとうありがとう、ありがとう。

神さま、幸せって無限なんですね。無限っていいですね。神さま、無限って不器用なんですよ。

神さま、きょうという一日をありがとうございます。ふつかはやい七夕。今夜、教室の織姫とプールサイドの彦星に会えました。

本当に幸せです。