長崎県西海の大島。
小さな小学校の小柄な先生が大きな仕事をしている。見事な授業に何処に居るのかを忘れてしまう。この教室にあるのは小さな島の穏やかさだけではない。九州の,いや日本の先に立つしなやかさと強さがある。
何よりリズム。子どもが学ぶテンポを知っている教師は授業を見事に運ぶ。そして教師の語り。子どもの心に声を届けるとはこういうことだ。厳しい。そして清々しい。もちろんやさしくて分かりやすい。
僕はこの教室にどれだけのことを学んだことだろう。iPadに残った動画をきちんと見直したい。
さあ,感動的な授業のあとはがぶ飲みの会。
もう一つ先の島が今夜の場所。
新しい仲間との乾杯に心おどる。
語って語って笑って,飲むことを忘れるくらいの時間はすぐに過ぎる。大島東小学校の仲間たちに感謝。
真っ暗な島の夜が帰路の仲間を飲み込んでいくようだ。
「ありがとう」を何度も繰り返し,島の夜はさらに黒くなる。群青の海が明るく見えるのは漁り火のせい。
そっと手ぬぐいに包みたくなるようないちにちをありがとう。
夕方,僕は仲間よりひとあし先に学校を出た。崎戸島に行くまでに寄りたいところがあったから。
五島灘、西海に面した小さな小さな集落の中にぽつんと赤い屋根。耳を澄ましても潮騒のほか何も聞こえない。誰も歩かないから足音もない。夏の花の葉擦れの向こうにも何も聞こえない。だけど,この大きな海の上に,そこにきっと神様がいらっしゃる。僕を見ていてくださっている。
僕の人生の師が少年時代を過ごしたところ。
神父様,きょうもいちにちをありがとうございます。