きりのくせに

「ようこそ,倉中へ来てくださいました。」と,茶道部のおもてなし。

僕のいちばん年の離れた友人の授業を見に来た。

こんないい表情で授業するこいつに嫉妬さえ覚える。

これまで,こいつと一緒に考えてきた。ずっと僕のような者から学んでくれたこいつ。こいつが苦しんできたことを知ってる。伝え方も示し方も分からない僕がとにかくがむしゃらにこいつに教えてきた。

そんな「これまで」が全部全部,全部つまった授業だった。

僕が50分間見つめていたのは生徒とこいつとの距離。こいつから届けられる声と表情。こいつのまなざし。

僕はきっとこいつのことが好きなんだと思う。