ありがとうは,届くと,×2

思いがけないひと言だった。

きょうは大学入学共通テスト。朝の社会科から夕方の英語リスニングまで丸一日の試験。すべての受験生を自分の息子や娘に感じてしまう。「今までのがんばりを発揮しなさいね。」「緊張しなくていいよ,,,」「さあ,深呼吸!」,なんて声をかけることはできないから,僕は,試験の説明アナウンスに集中した。いつもよりポーズやイントネーション,プロミネンスに心を寄せて話しかけるように注意した。

なにごともなく一日目終了。三人の試験監督で労をねぎらいながら試験室を出たとき,思いがけないひと言。

「先生,試験監督ありがとうございました。」

どこの高等学校か分からないけれど,3年間,着込んだ制服姿が頭を下げてくれた。

確かにくたびれた。だけど,この「くたびれ」が僕の仕事。

帰りの車の中で,「試験監督ありがとうございました。」を何度も繰り返して思い出した。「ありがとう」って,心に届くと2倍もの感激をうむ。「ありがとう。」。

さあ,明日は1月17日。あの日から26年。日本が「ありがとう」に包まれた時間を感じたい。

神様,きょうもいちにちをありがとうございます。