青春の讃歌を綴れ

天草からの帰り道。夏色の中を走る。目指すは県営野球場。

一塁側、35列6番。一人で来るときの定位置のひとつ。ブラバンも控え選手のアカペラ応援もない今年の予選。球音だけでなく、ミットにとまる革の音、振り放ったバットが転がる芝の音、スライディングの砂煙の向こうの土擦れの音まで聞こえる。

そして、センター池田君とライト乙内君のあいだを行き来する短い言葉にどきどきしている僕がいる。マウンドに集まる汗まみれの顔からこぼれる言葉が聞こえてきそうなくちびるの動きをじっと見つめている僕がいる。

美しい賞賛や力強い応援、励ましや慰め、他者への感謝の言葉はもちろんだけど、信じ切っている仲間の間にある短い声こそが青春の讃歌かもしれない。

試合後、スタンドを後にする僕の横を控えの選手が応援を片づけている。こんな姿に僕は熱くなる。

いいもんだ。こんなところにも青春の讃歌があふれている。

さてと、第二試合までのあいだに腹ごしらえ。きょうは大波止の馴染みの店は定休日だから、もうひとつの店にしよう。