学生だから身につけられること

佐野元春の音楽に「つまらない大人にはなりたくない」ってフレーズがある。

大学生の頃から大好きな言葉だ。「つまらない大人なんか絶対になるもんか。」って、自信もあった。それがどうだ。まったくもってつまらない大人になりきってしまっている。

なぜか。

もっと若いときに身体に染みこませておかなければならなかったことがたくさんああるに違いない。

僕は出汁の味は分かるつもりだ。京料理の繊細さにはうるさい。小さいときから母が僕に味見をさせてくれ、昆布や鰹のひとつひとつを毎日教えてくれたからだ。身体に染みこんでいる。

じゃあ、子どもの学びに対するセンスはどうだろうか。できるなら教育実習生の頃に戻りたい。新任教師の頃に戻らなきゃ取り返せないことがたくさんある。知らず知らずのうちに身についてしまったこのつまらない教師としての技量。ああ、これをそっくりそのまま何処かに埋めることができればいいのに。知らなかったことにできればいいのに。

僕はいま、「これが絶対」なんて言わないし言えないけれど、清原先生や大村先生、野名先生先生から学んだことをこれからの時代を生きる子どもに合わせて、22世紀を生きる子どもの背中を押す力になってほしいと願い、学生に伝えようとしている。

目の前の大学生がつまらない大人にならないように僕ができること、それは、僕の失敗を語り、みんなの使命をことばにすること。

一緒にやろう。きっときっと、子どもの成長につき合える教師になれる。

神さま、きょうもいつくしみをありがとうございます。