シーボルトとうなぎ

みかん色の屋根の高い窓から湯けむりが流れる。大村屋のそばにかかる橋からのこの景色が好きだ。春を思わせるやさしい日差しが思いのほか長湯にさせたのか、火照るからだに橋の上を舞う風が心地よい。

足湯を楽しむ家族づれを包むように炭焼きのいい匂いがただよう。土用の丑だけが食べどきじやない。したたる脂に大きくなる炭の炎の回数をかぞえながら待つのもいい。

こんなぜいたくな土曜日は突然やってくる。