旅の周辺

博多駅、普段は3番線のかしわうどん。その時間がないときや、時間調整のため車内で食べなきゃいけないときはコンコースにあるお店「野の葡萄」。

きょうは、乗り換えもぎりぎり、新幹線を降りる直前に食べるつもりだから「野の葡萄」。買い物できる時間は2分ほど。

ちゃっちゃと、お気に入りのおむすび二つ。てきぱき小さな惣菜。さっさとSUGOCA。ひとこともしゃべることなく、レシートはいらないよと、手を振りながら店を出た。

それなのに背中に聞こえてくるのは「ありがとうございました。いってらっしゃいませ。きょうがいい一日になりますように。」の声。

僕はうれしかった。あたたかくなった。振り返った。そして、心がもう一度、1分前に戻りたいって言ってる。ありがとうって言ってカードを出して、ありがとうって言っておむすびを受け取って、ありがとうって言って店を出たかった。

恥ずかしくなったよ。悲しくなったよ。急いで乗り換えなきゃ、早めのお昼を買わなきゃ、よし、上手く新幹線に乗れそう,間に合った。さすが!満足!なんて、恥ずかしいよ。悲しいよ。

僕の旅は僕だけの旅じゃない。何気なくかかわってくれて、そっと旅をつくりあげてくれているたくさんの人やものがあるのに。すいすい動くことができてる自分に満足している自分のなんと小さいことか。

ありがとう。ありがとう。きっといい一日になります。あなたの言葉がいい一日にしてくれます。ありがとう。店員さんの一日もいい一日になりますように。一日の初めのお客が僕みたいなだめでごめんなさい。

神様。自分で何でもできる、自分はできるなんて、だめですね。だめですね。