特別な一日の「きょう」

三浦町を出て,いつもの朝ごはんを食べて,8時ちょうど発の有川行きフェリー。

ほとんどお客のいないフェリーは赤い絨毯を独り占めできる。

港にはいつもの笑顔。僕の鞄もこの港によく似合う。

さて,小学校着。「ただいま。」のひとことがすんなり出る。

きょうは今年のしめくくり。高学年の授業。といっても「わたり」や「ずらし」ではない。

ずらさないほうがいいのにずらしたり、わたるために学習を小刻みにするのはおかしい。そんなことに気づいているこの学校の複式指導は新たな方法を探し始めてる。だから、かかわっている僕の目も忙しい。教師を見たり,子どもを見たり,子どもを見たり,子どもを見たり。

手に汗がにじむ。

「いい授業でした。」ひとこと本音。そして、「だからこそ!」の、協議。みんな本気だ。この小学校の教師たちは間違いなく本物だ。同じことを繰り返さない。理解できるまでたずねてくれる。だから,次はその次の話ができる。「学び」そのものだ。

きょうは若松にも寄らずに帰ることにした。だって明日は火曜日。また朝から子どもを歩いて迎えに行く校長先生の邪魔はできない。当たり前のことを当たり前のように続けられるのは当たり前ではない。

「写真を撮ろう。」の声にすっと肩を組んでくるのはこの男だけ。

帰りのフェリーに届いた一枚の写真。自分が乗っている船を見るのは初めてだ。

戻る旅に日が沈んでいく。

神様,きょうという特別ないちにちをありがとうございました。明日も特別ないちにちにします。