単元びらき

授業をした。京都府城陽市の6年生との時間。単元は「できごとと会話文を関係づけて,「ひと」発表会をしよう。」。学習課題は,「「命シリーズ」の登場人物の関係やそれについての自分の考えを、物語のできごとと会話文を関係づけて、新聞の人物紹介欄のように書く。」。

この歳になると,心地いい緊張感はあるけれど,変な緊張はしない。等身大の授業しかできないことを知っているからなのか,普段着の心地よさを覚えてしまったのか。決して慣れてしまったわけではない,軽く考えていることなどあるはずない。心地よい緊張感の中で,この日を楽しみにしてた。

12時16分京都駅着,12時56分城陽駅着。

31人とは授業開始前のわずかな時間に顔合わせをした。僕の五島列島での思い出ばなし。慎太郎という男の子との海でのエピソードだ。予定していた15分間の顔合わせ。エピソードの内容がまさに盛り上がってきた瞬間に15分経過。「ええっ,続き聞きたい!」という声を残しておしまい。

授業はステージ上の教室。マイクのセッティングやビデオ撮影のチェックを済ませたときには,子どもも31の席に座っていた。何人かが「先生,さっきの続きは?」とつぶやいている。「そうですね。じゃあ,さっきの話の続きをしましょう。ところで,さっきの話の登場人物は誰ですか。」

期待していた通り,子どもの声からの導入を経て,ドラえもんの非連続テキストと会話文を使い,海の命へ。予定通り,なんていう陳腐な言葉はあてはまらない。だって、授業は教師の都合ではないから。だからこそ、子どもたちの学ぶ意識の流れがつくる方向を見間違っていなかったことに安堵した。授業技術はずいぶん錆びてしまっただろうけれど,あの頃にはできなかった子どもの声の聞き方はできつつあるかもしれない。

2016 01 29 城陽

授業人として,こういう授業ライブは何よりも楽しい。そして,学べる瞬間だ。子どものと真剣な時間。わたしの授業を参観してくださる300名を越える先生方の瞳。授業後の数々の声。どれもに真摯に向き合いたい。

2016 01 29 城陽02

単元びらきは,教師の発話が多くなる。子どもはグループで話し合うことばかりで,全体で発表することが少なくなることがある。しかし,それは子どもが考えていないのでない。深い学習が静かに始まるときはこういうものだ。今,まさに単元がはじまろうとしている。そんな単元びらきの1時間だった。

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このような機会を与えてくださった城陽市教育委員会の方々に感謝しています。そして,6年生の子どもたち。この時間を単元のはじめとして,単元学習を進めていくそうですね。ぜひ大きな学びの中で力を発揮してください。担任の先生,よろしくお願いします。